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2004年02月26日
フォーサイスx安藤洋子~重力と戦う力
祖師ヶ谷大蔵でプレゼン用のムービー資料をつくっていたら、向かいのマンションに野茂がいた。
ムービーの書き出しを終えてから世田谷パブリックシアターに向かうのにバス亭にいってバスを待つ。三軒茶屋までの時間を運転手にきくと「今日は特に混んでますから一時間はかかりますね」と言われたのでてくてくと駅に向かって世田谷線に乗り換える。頭がガンガンと痛い。異様なまでに頭痛である。
「安藤洋子新作ソロ」「N.N.N.N.」「QUINTETT」の初日である。
ついて早々に頭痛で気分が悪くなる。カゼだろうか。席に着くと隣の席には老齢の夫婦。70歳くらいかな。こうしたステージにはよくくるのだそうだ。
4つくらい向こうの席には浅田彰。
以前、T所が火星人と呼んでいたがその趣はいまだ健在である。
iwtkに至っては「akirax」呼ばわりだ。
変なところでポップなネーミングで呼ばれている。
本人は気づいているのだろうか。
開演。
しかし、頭痛は酷くなる一方である。
ちりぢりになりそうな意識でステージに目を向ける。
巨大なアフロのカツラをかぶった安藤洋子がズリズリと舞台をうごめく。
動いては停止を繰り返す。
同じ光景が続く。
しばらくして、一瞬、意識が遠のく。
2~3分しただろうか。
気がつくとカツラを脱ぎ捨てた安藤洋子がステージをはっていた。
足先に緊張がみえた。
手足の筋肉が悲鳴を上げているようだった。
身体が踊っていた。
それは踊るというよりも「動く」感じで平面を人が「動いて」いた。
舞うのではなく動いていた。
重力を感じた。
SFの世界のようだった。
二人の男性のダンサーがロープを引きずる。
彼ら歩みはその場の物理法則とは異なる「重さ」を感じさせた。
傾いた足と上半身。
動いているのだが重心は微動だにしない。
幕が下りた。
休憩「N.N.N.N.」休憩「QUINTETT」とステージは続く。
素人目には最後の「QUINTETT」がわかりやすかったが自分の好みをいえば「N.N.N.N.」が好きだと感じた。
理由はないな。
始まって1分くらいの時の腕の動きをみていたら、止めと払いという二つの背反する動きを同時に感じさせられて、いいなあ、と思った。
そうだ忘れていた。
もっと良かった人がいた。
「QUINTETT」で最初にでていた黒人のダンサーの筋肉、そしてしなやかな手の動きは素直に美しいと思った。正直、少し見とれた。
安藤洋子の筋肉は限界点で動き続けていた。
決して軽やかではない。
ぎこちないとか硬いわけでもない。
意志に反して身体が硬直する時に似ている。
彼女の身体の中心に向かって重力が働いていた。
舞台の後でレセプションがあった。
何となく不思議な気分だった。
つい数週間までまったくその存在すら知らなかった安藤洋子。
TVでみたのも偶然ならばチケットを買ったのも偶然(彼女がでているということすら知らなかった)。
その彼女とパーティで乾杯している自分の今は何なのだろうか。
頭痛の頭で考えるが何もわからなかった。
浅田彰、坂本さん、フォーサイス、安藤洋子の4人が互いにデジカメで記念写真を撮っている。必ず、一人あまるので撮ってあげればいいのだが気力の限界だった。倒れる直前であった。
しばらく歓談していたら体調が少しよくなったのでiwtkの同僚のデザイナーさんたちと食事にいった。ほぼ完治したかに思ったが帰りの電車は気力だった。
普通だったら即行で帰ってるよな、と自分を省みるが相変わらずバカは治らない。ロレツがまわらなくなった村島さんは千鳥足で奥さんに抱えられて帰っていった。
青山一丁目で乗り換えなのだが間違えて3秒くらい渋谷で降りてしまった。すぐに車内に戻ってズキズキする頭で月島に帰った。帰ってきてメモとして書き始めていまにいたるが頭痛はなお強まる一方である。
いろんな有名人にあった昨夜であった。
同時にあることにも気づいた。
狭い世界である。
友人はその世界の友人としか話ができない、という広がりの薄い世界が広がっているように見えた。メディアがつくりだす枠は見えないだけに異様に強固で、あの場があの瞬間から漂流教室になったらあの場にいた人たちの持つコンテクストや関係性、過去、価値、意味、いろんなものはガラガラ崩れていったのだろうか。
無人島で話すように人と話せたらいいなと思う。
人にはそれぞれの到達度というのがある。それでもいろんなものをとっぱらって助走なしに「人」to「人」で対話できる世界がいいな、と僕は思った。
投稿者 TKM : 2004年02月26日 02:16
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