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2004年10月02日

「あかね空」 山本一力著

山本一力「あかね空」を読む。
江戸の時代にいきたことなどないのだが風景が思い浮かぶのは何故だろう。
隣町の門前仲町近辺が物語の舞台なせいか親近感をおぼえた。

後書きで絶賛されていたのでパラパラと10ページほど読み進める。
風景と人物が勝手に動きはじめる。
情景が思い浮かぶのだ。

その景色につられてページをめくりつづけた。
読書の楽しみとはこういう時間をいうのかもしれない。

時代物はあまりよまない。
読むのは「かくれさと苦界行」など隆慶一郎の作品くらいだ。

山本一力。
作家の名前は知っていた。
作品は読んだことはなかった。
メディアに露出する回数が多くNHKのドキュメントでとりあげられていた。
そのドキュメントによればバブル期に彼の奥さんの実家(酒屋だったと思う)が所有する土地に数十億の値がついた。彼はそこにビルを建て、賃貸収入と電子広告の提示による広告収入というビジネスを思いつき事業をスタートさせる。しばらくしてバブルが崩壊。
ビル建設の資金は消え、借金だけが残る。以降、執念の文筆量で借金を返済していく。ドキュメントではその様が描かれていた。

穏やかな口調だが目は作家のそれであった。
ある種の作家は書くことが好きで書くわけではなく、書かざる得なくて書くのだろう。
これは私見であるがおそらくきっかけは何であれ高度な作品が完成するための域が存在し、そこでは個人の持つ背景は無意味となる。

どんな理由があれ、それが苦渋にみちたものであれ、悦びを発端としたものであれ、作品を創る最後の最後で人は自己との対話あるいはその先を経験しなければならない。それが見えるかどうか。それが作家の作家性であり「つくる」の根元であろうと僕は思う。

あかね空
山本 一力

おすすめ平均
さわやかな人情時代劇

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投稿者 TKM : 2004年10月02日 03:45

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