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2004年10月07日

「東京アンダーワールド」ロバート・ホワイティング ~朝のマーチとお堀端の売春街が奏でるダイナミズムの本性~

マーチのリズムで目覚める。

日曜に予定されていた運動会が雨のため延期になっていた。
子供達が校庭を駆け回るのが聞こえる。

戦後、占領下の日本の様子を克明に描いた「東京アンダーワールド」を少しだけ読んだ。僕には想像すらできないが東京がワンダーランドだった一時期が存在したことを知った。以前、宮島さんがヤミ市の活気について嬉しそうに話してくれたことがあった。なるほどヤミ市とはこのようなものであったのか。そこでは日本のカースト性がフラット化していたそうだ。

危険だっただろうし、良くないこともたくさんあっただろう。ただ、と僕は考える。文字の向こうに浮かび上がってくる自由の気配はなんなのだろう。混沌とした占領下の東京にはイノベーションを引き起こすダイナミズムを感じてしまう。いや勘違いして欲しくないのはいまの東京にダイナミズムがないわけではなく本質的な質が異なるということなのだ。この質の変移を見誤るからズレたドライブがかかってしまうケースが少なくない。安易に過去を美化しても何も生まれない。

同じ経済系犯罪ではあるけれど現在の「オレオレ詐欺」と当時の犯罪は異なり痛快さを感じさせる逸話が多い。基本的に米軍が管理する物資を販売することで利益を得るというのが当時の犯罪の構図であった。それが「無法」あるいは「いってこい」という感じでとんでもないスピードと発展性で事態が展開していく。経済規模にしてみればオレオレ詐欺の方が巨大なのだろうけれどダイナミズムの質が異なる。オレオレ詐欺はまったく痛快じゃないのだ。そこには「まいりました」という感慨はない。単なるセコさである。指向がイノベーティブではない。時代を反映しているといってしまえばそれまでだがダイナミズムの方向が逆向きのスパイラルで縮小へと向かってしまっている。

いまとなっては信じられないが。
皇居周辺が売春街だったとは。
使用済みコンドームの山が散乱し週に一度は網スコップでお堀端の掃除がおこなわれていたそうだ。

また1000人近いホステスとラスヴェガスなみのステージショーが行われていたスーパーキャバレー「ミカド」。そんなものがこの日本に存在していたのか。当時の写真をみたが圧倒された。仮に、の話だがこのダイナミズムを有した都市がこの時代にこの国に存在していたなら、と考えると戦慄を覚える。そんなのがあったらキャバクラなんて誰もいかないだろうな。

ブログだとかネットだとかテクノレバレッジな成功事例や小売り、美容などのちょっとした産業。そういったものなど一息で吹き飛んでしまうダイナミズムがこの社会の根底には存在する。巧妙に隠蔽され、ひた隠しにされているけれど混沌の持つ狂気やダイナミズムもまた人の本性である。

エネルギーである以上エネルギーの法則にしたがいどこかに向かうはずだ。見える形ではないだろうし時間のスケールが我々の認知を超えているかもしれないが本質的な部分が表にでてきていないだけでそには何かがある。
情報的といったらいいだろうか。
説明できないが「生々しさ」や「うねり」を感じるのだ。

ルールや関係性の糸がもつれている場所がある。
注目したいのはそこだ。

++++++

ものすごい歓声がきこえた。
廊下からは小学校の校庭がみえる。
紅組、白組にわかれての騎馬戦であった。
10対10で二ラウンド。
子供達の声が反響してそこいらのコンサート会場の何倍もの熱気である。

競技への本能的な反応は人の本性である。
この熱気こそダイナミズムの本質であろう。

東京アンダーワールド
ロバート ホワイティング, Robert Whiting, 松井 みどり

おすすめ平均
アメリカ人側から見た戦後日本
東京散策を二倍楽しむ方法
わくわくしながらあっという間に読むことができます。

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投稿者 TKM : 2004年10月07日 14:11

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