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2004年12月20日
カバンの冒険・レポート編 ~『ショルダー』ですね~
「カバンの話はどうなった?」
「カバンはどうだったんだ?」
という問い合わせが多く。先ほども党首より「書け」との要請もあり、まずはカバンの件からレポートしていくことにしよう。
事件は金曜日の夜から土曜日の朝にかけておきた。
その夜は某プロダクションの忘年会だったのだがちょうど量子力学の本が面白くなってきたところだったので「今宵、いくべきか?いかざるべきか?」と悩みつつあった。
また外も冬空で肌寒く「今夜は寒いしこの続きを読みながらディスカバリーチャンネルの宇宙ステーション特集のDVDを観よう」と思っていた。バシ師匠は当然、出席されるはずだから様子をうかがってみた。少しおくれていくつもりだとのことだったので僕は2次会から顔だけだしてさっと帰ろることにした。
そこであらためて忘年会の案内のメールをチェックすると、
「当日キャンセルは全額負担!!」
という一文があることに気づいた。
この瞬間に自動的に絶対参戦が決定した。
僕もよくパーティなどイベントのしきりをやっていた経験に照らすと、この手のイベントの時はお店との間で最低補償金額を決めておき、当日は参加した人数を双方で確認し、最後に人数分の費用を支払うというのが普通だ。でないと人数の増加に対応できない。また具合の悪い人だって出る可能性もある。なのでこの一文には眉をひそめた。
バシ師匠より一足先に永田町についてテクテクと店まで歩いていく。
最近、自分は「いい人」であるとの印象が強まっているらしいのでじゃあたまには気を使わないで素でいってみるか、そう思った。
目指す韓国料理に到着し挨拶をしていると、バシ師匠から
「店どこだっけ?」
と電話があった。挨拶もそこそこに師匠を迎えにいく。ただ迎えにいくのもなんなので薬やの店舗の影にかくれて通り過ぎたら腕を捕まえて連行しようと通りの向かいのガラスにうつる影をみつめる。まもなく、師匠の影がみえた。
「ハイどうもー」
と勢いよく捕まえようとすると相手に驚いた様子はない。
ニンマリとして
「なーんか、もの凄い殺気でわかっちゃったよ。なんかでてる感じしてさ、ハハハ」
と勝ち誇ったようなゆとりの声。かなり上機嫌である。
納得がいかない。
二人で店にはいって挨拶などして酒席に加わった。師匠の同僚のアラマハさんも同席しており、着席後1分でフルスロットル状態。はやくも楽しくなってしまいいきなり盛り上がる。あたりまえといったらあたりまえなのだがこのメンツがそろってつまらない時はない。
なにせ酒席でのアラハマさんのトークが素晴らしいのだ。自虐的でありながら、ツボを押さえたフェイクトークを入れてくる。絶妙のタイミングであらゆる場面に切り込んでくる。このトークにはいつも感心させられる。
そんなわけでウダウダいっていたわりにいちばん忘年会を楽しんでしまった。二次会も適度に楽しみ(いや実はここにもかなりのドラマもあったがそれはまたの機会にでも)、我々3人は赤坂を後にした。
その後、師匠がいきつけの渋谷の店にいきたがっていたので連れて行ってもらう。僕は一年ぶりくらいでいったものだから歓迎されてしまい、こうなるとライブと同じで場の力でそこにいることが楽しくなってしまう。
気づけば更にメンツがぐるぐると入れ替わり、話はつきない。店はほぼステージ状態で異様なテンションになっていく。時計をみると4時頃だった。そこで師匠が
「カガヤくん、オレ、もうだめだぁ~」
と限界宣言をする。二人で店を後にして駅へと向かう。電車はうごいている時間である。二人で歩いていたらバシ師匠がなにやら歌を口ずさんでいる。気持ちのよい風であった。
「バッシー、その曲なに?」
という問いをしたような。
二人で1時間ほど歌うこととなった。
これが異様に楽しかった。
バシ師匠はボーカルをやっていただけあって歌の盛り上げが素晴らしい。
エンターテイナー・バシタカが炸裂であった。
時刻は朝6時。
TSUTAYAの前あたりで別れてお互い帰路についた。
気持ちの良い朝だ。
と、このあたりで僕の記憶は消えている。
以後は断片的な記憶だ。
・半蔵門線のホームで電車を待っていると次の電車まで9分あった。
・トイレにいきたかったので階段をのぼってトイレにいった。
・次の記憶は青山一丁目で大江戸線に乗り換えようとした。
(本来は半蔵門線で永田町にいき、そこから有楽町線に乗り換えるのがベストなのだが)・大江戸線のホームで電車を待つ間に少し座った。
「ハッ!」
気がつくと青山一丁目に向かう大江戸線の逆側の車両に乗っていた。
「あれ、何でこんなところにいるんだ?月島は?」
と逆方向の電車に乗ろうとすると何かが欠けていることに気づいた。
「あれ、カバンは?あれ、どこいった?」
そう。カバンがないのである。iBookをつかっていた頃に運搬用に買い求め、以降、仕事の時に持ち歩いていたA4サイズの黒いカバンが忽然と消え失せている。あり得ないことだ。これまでの人生でどんなに酔っても記憶が飛んでも電話とカバンを無くしたことはない。それがあっさりと消え失せていた。記憶を辿ろうにも覚えているのは前述の断片的なものだけだ。
異様な喪失感につつまれる。
身体はガタガタであったが気力で駅員に
「カバンをなくしたみたいなんですけれど?」
そう訪ねると
「いつですか?」
「うーん、この一時間くらい」
「ではもう車両はいってますね。それぞれ一度、光が丘か都庁前に向かうことになっておりますので改札の方できいてみていただけますか」
と丁寧な対応をされた。改札で事情を話すと
「こちらが連絡先ですので光が丘か都庁前に連絡してみてください」
と言われる。「しかし、渋谷の可能性も捨てがたいので半蔵門線のホームもみたい」と伝えると改札を通してくれた。そのままいってくださいとのことだ。
渋谷について一応、記憶の断片を辿ってみるがカバンの痕跡はない。そうだよなー。と一応、こちらでも半蔵門線の忘れ物の連絡先を教えてもらう。
そしてまた青山一丁目に戻って大江戸線に乗って月島に向かう。考えてみればここで有楽町線に向かえばよいのだがそのあたりの頭が働いていないようだ。
青山一丁目で電車を待ちつつ、
「なんかこのあたりに座ったような気がするなあ。でも、なんで逆側の電車に乗ってたんだ?」
と自分の過去の行動を推測してみるが答えはまったくみえてこない。不明である。空白の時間が横たわる。自分は何を?そしてカバンは?
疑問は消えない。月島までの各駅のホームを通過する際に外をみつめる。カバンがありそうな気がしていた。
自分はこれで何を無くしたのだろう?
少し考えた。無くなったものは仕方がない。大したものも入っていない。手帳とDSとデジカメと本とヘッドフォンとそのくらいだろうか。そうだ、電話もはいっていた。明日は電話を止めなければ。
陰鬱な気分というよりは徒労感の方が強かった。
そのくらい疲れていた。
何故カバンに発信器がついていないのだろう、と何度も思った。
愛着のある機器もあった。
なくなってもいきていけるけれどいざなくなると面倒くささばかり気になってしまう。
電話を止めること。
本をもう一度買わなければならないこと。
DSにささっているソフト。
どれもこれも復帰させることはできるけれど二度手間である。
やらなければならない作業がちらついてどっと疲れがでた。
けれど別な気持ちもあって、
カバンの中身がどれほど大切ということはないけれどそれがなくなると人はこんな気持ちになるんだな、と客観的な自分もいた。
月島について家に向かう。
とりあえず眠ることにした。
カバンをロストしてから散々歩き回り、疲れていた。
寝る前に今日明日で電話が来そうな人にはメールで連絡し、その後、ブログで電話が通じないことを通知した。
起きると頭がグラグラしていた。
メールがたくさんはいっていた。
ペン蔵からメッセンジャーがきて彼特有の久保君を東洋的な魔術系にした感じのものいいで励ましのコトバをもらった。
どうにもだるかったが動かねば。
まずは営団線から電話だ。
40代くらいの男性の声だ。
「あの忘れ物の件でおうかがいしたいのですが?」
「はい。えー、いつ頃にどこの路線でどんなものでしょうか?」
今朝方にカバンを渋谷駅からの電車で忘れたかもしれない旨を伝えると
「カバン?肩からかける?」
「あー、そういえばそうもつかえますね」
「あ、それじゃ『ショルダー』ですね」
「で、中身は?」
とこのような感じで詳細を伝える。あの形状のカバンを『ショルダー』と呼ぶのか、と変なところが気になった。
「ちょっとおまちくださいね」
そしてしばらくまつ。
「あの、灰色のショルダーが渋谷駅にあるとのことです。中身はー。うーんと、傘。ルーズリーフ。電話。サイフ」
「あー、それは違いますね」
とオレ。
「そうですか。こちらにねー。現物くるのがゲーツヨウなんですよ。なのでゲーツヨウの午後にもう一度お電話していただければ詳細わかりますんで。ハイ」
となかなか好対応であった。お礼を述べ電話を切る。とりあえず月曜か。
次に大江戸線の連絡先がかかれた忘れ物受付案内の紙をとりだす。大きく
「土日、祭日は受付は終了」
「2~3日保管して現れない場合は警察に移管します」
と書かれている。かー、これじゃダメじゃないか。大江戸線、使えないなあ。と月曜までの動きのとれない時間を思った。と、そこで
「あれ、そういえば。あのとき確か。こっちじゃなくて『スグの場合は光が丘か都庁前に…』と言われなかったか?」
と思い出した。
そうだ!
こっちにも電話してみよう。まずは順番が上にあった光が丘駅に電話してみた。
「今朝方にカバンを無くしてしまって、おそらく青山一丁目から月島方向に乗ったはずなんですが」
と伝えると。
「カバン?ハンドバック?」
そうきかれたのですかさず
「いえショルダー」
さっきの営団線の係の人との会話でこの言葉が気になっていたのでとっさにでてしまった。
と、受話器の向こうでうなずくような気配を感じた。
「ちょっとおまちくださいね」
しばし待つ。15秒くらい。
「えーと。黒いカバン。ショルダー。中身はどのようなものですか?」
「えー、携帯電話・DS・手帳・デジタルカメラ・本ですね」
「黒いショルダーのカバン。失礼ですがお名前いただいてよろしいですか?」
「カガヤです」
「カガヤさん。ハイ、光が丘ではなくてですね途中の赤羽橋で届いております」
この言葉がやけに心にしみた。
いい口調だったのだ。
彼の声が。
「そうですか!ありましたか!ありがとうございます!」
「では、詳細は赤羽橋の方にご連絡ください。1番の札がついておりますのでそう伝えていただければ大丈夫ですから」
この時の復活感は例えようがない。
どん底状態からいっきにトップレベル、天上につり上げられた感じだった。この世界で再開することはないであろうと思っていたわが分身が突如、実体を持つリアルな存在としてよみがえったのだ。
僕は駅に電話して話をしただけだ。
そこでの言葉のやりとりがいまのこの至福感と感謝の悦びをつくりだしている。それが不思議であった。現実がかわったわけではない。カバンは僕が電話する前もそこにあったはずだ。
ものがそこにあるというだけではそれを実感することはできないのだ。
赤羽橋に電話するとやさしい声の男性が対応してくれた。
名前をつげ、中身の詳細を説明する。
「はい。確認とれました。こちらで保管しております。いつとりにこられますか?」
「ありがとうございます。ではすぐに向かいたいと思いますのでよろしくお願いします」
二日酔いであったが赤羽橋へ向かう電車の中、気分は悪くなかった。
赤羽橋の改札のおくにある「忘れ物あづかり所」という施設の自動ドアをあけた。
中には50歳くらいの駅員さんがいる。こちらに気づくと、
「あ、さきほどの?」
「はい、そうです。カガヤですが」
おじさんは机の上からカバンをとりあげこちらにもってきてくれた。笑顔であった。中身を確認するように言われ、中身を確認する。グレイト。何一つ問題ない。そのままである。
サインをし、お礼をいってカバンを手にとり、肩にかける。
『ショルダー』か。
10時間ぶりのカバンとの再会であった。
投稿者 TKM : 2004年12月20日 03:55
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コメント
おお、無事なようでよかったですな:)。
投稿者 やさか : 2004年12月20日 05:25
お茶する前にこんなエピソードだったのね~。
だから会ったときになんとも優しげな雰囲気を
していたんだ。
投稿者 志乃 : 2004年12月20日 06:17
良かったねぇ。すばらしきかな都営地下鉄!
かつてJRにてお酒に呑まれ、記憶を失い、その日
買い物したもん全て無くしたことがありますです。
加えて、結局出てきませんでした、ハイ(苦笑)
投稿者 竹 : 2004年12月20日 09:00
良かったねー。
なくした瞬間って、脳みそ空白になるよね。
小田急で小田原まで取りに行った経験アリ。
投稿者 kissh : 2004年12月20日 10:13
よかってぃんぐ。
その一言ですナ。
投稿者 Yけん : 2004年12月20日 13:10
かばん、出てくると、うれしいよなぁ!
オレも旅先で、飛行機に預けたかばんが手違いでオレと
離れ離れになり、3日ぶりに 戻ってきたことがあったけど、
再会したときは、うれしかった!
なんにせよ、おめでとう!
投稿者 GC_Factory : 2004年12月20日 13:42
ちゃんとハッスルしたか??(嘘)
よかったよかった。
投稿者 paya : 2004年12月20日 17:58
皆さんどうも~。
カバン復帰です。
しかし持ち歩くのが恐い。
かなり警戒気味。
ところでカバンロストに関してエントリーを書いてから反響があり、多くの人が同様の経験をしていたことがわかってきました。
投稿者 かがや : 2004年12月20日 18:08
よかったですね.
んで,やっとわかりました.
「しっぽを立てろー,帆を上げろー」ですね.
(東洋のオタク系のものいい)
投稿者 くぼ : 2004年12月21日 05:43
初めてコメントします。
カバン見つかってよかったですね。
僕も今年、網棚の上に置いておいたカバンが
盗まれてしまいました。網棚にはそれ以来カバンを
置いていません。
投稿者 ともりん : 2004年12月22日 22:20



















































































