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2005年03月23日
BAD LUCK・バッドラック ~今年、一番買収したい本~ 
■「バッドラック」
相当に強烈な帯のコピーなんですが内容もかなりスゴイ本でした。
ある日、二人の小さな神様は暇つぶしにありふれた平凡な男を不幸にするという悪戯を考えつきます。しかもスケジュール付きです。
AM10:00 アレックス、目覚まし時計が止まる。
AM11:00 アレックス、上司にいじめられる。
AM11:30 アレックス、仕事で大失敗をして大恥をかく。
PM 2:00 アレックス、円形脱毛症になる。
PM 3:00 アレックス、会社をクビになる。
PM 4:30 アレックス、殴られる。
PM 6:00 アレックス、詐欺に遭う。
PM 8:00 アレックス、自宅が火事になる。
PM10:00 アレックス、死亡する。
こんな感じ。
かくして不幸を約束された男アレックスvs神様の用意した不幸チームの戦いの火ぶたがきっておろされます。物語は神様の視点、 そして男の視点から描かれていきます。
この本のスゴイところはこの寓話風の舞台設定をつかってテキスト・本を徹底的に「アソビ」 倒す発想のぶっ飛び具合です。本自体がアソビなんですね。それがテキストの醸し出すドライブ感につながっていきます。 読書・執筆がもうイベント的といってもいいかもしれません。そう、読書というよりもライブっぽいのです。
「オシャル技術」以降、 ずっとフォローしてきましたが、著者の水野敬也氏は、発想の天才です。
特に序盤のリアル「ジャパニーズスシ」、「生土下座」 というセリフには不覚にも書店で笑ってしまって結構変な目でみられたかもしれません。
物語自体は中盤以降でパワーダウンしている気もしますがそれでも中盤までのたたみかけるようなぶっ飛びな発想群は素晴らしすぎです。
企画・プランニングにおいて重要なのはこの「アソビ感」なのです。
名著「アイデアのつくり方」でジェームス・ウェブ・ヤングがいっているように
「アイディアとはく既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」
のです。バッドラックを読んでみるとわかりますが一つ一つのシーンそれ自体には目新しい要素はありません。 しかしこの本にはどうしようもなく「新しい感」があります。
これは物語を構成する要素の組み合わせの新奇性から来ている面白さなんですね。
絵の使い方、どうしようなくくだらないシーンをあえて真摯な文体で描く等の「コンテクストの逆あて」
を用いることで地と図を転換し、カーニバリスティック(故江藤淳先生の造語です)
なテキスト空間を創り出すことに成功しています。
とにかく序盤に出てくる「KOKESHI」「SUSHI」「DOGEZA」 この三つのワードの使い方だけでも大学の講義半年分にも匹敵するアイディアの「原点(ソース)」 を体験できます。というわけで最近読んだ本の中ではかなり衝撃を受けた一冊です。天才とはいるもんですね。
投稿者 TKM : 2005年03月23日 00:00
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